<第二版の販売が始まりました>
食べるとは、なんだろう?完全栄養食などもコンビニで手に入るようになった今、私たちの食環境は大きく変化している。しかし本来、食べることは単なる栄養摂取にとどまらない。来歴を調べていくうちにさまざまな文化の積層の上に成り立っており、その上に私たちが存在していることに気付く。「和食とは何か」「私たちは何からできてきたのか」を認識する、私たちの説明書。
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● サイズ
A4サイズ / 100ページ
● 付録
A2サイズ 和食年表ポスター付き
● 目次
第1章 米の道
火で熱した糖質を食べて、脳が倍の大きさに拡大して人類になった
米の移動 海底に没した大陸・スンダランドが稲食の故郷
原始的な稲食は、根菜農耕と焼畑による陸稲耕作
日本語の起源言語と、水稲耕作が山東省付近で出会う
大和王権は、水田耕作が可能な谷の連続体で広がった
山の神信仰から見えてくる、稲の神さまの一年
稲を実らせた精霊が、再び山へ帰ってゆく
現代の我々が気付くべき米の叡智
第2章 大豆の道
穀醤の移動 起源の違う二種類の味噌が日本で混ざり合う
麹から糀へ、麦コウジが稲コウジに置き換わる
高句麗の騎馬民族が、関東武士の先祖の一部に組み込まれた
精進料理の移動 仏教の伝播で生まれ、和食の原型となった
インドに「精進料理」はそもそも無かった
第3章 麦の道
麺の移動 西から来た小麦が麺となり、また西へ戻ってゆく
二千年前、中国黄土高原の乾燥地帯が「麺」を生み出した
餃子の起源地 トルキスタンのマントゥ
農耕に次ぐ古代食最大の叡智「グルテン発酵」のミラクル
麺の移動 イスラムが乾麺を生み出し、パスタと融合する
麦のUターン、唐からイスラムへ麺が伝わり、乾麺が生まれる
第4章 発酵の道
発酵漬総覧
魚醬が生まれたメコン川流域、雨季の魚をアミノ酸へ分解し長期保存
江戸のファーストフード「江戸前寿司」の道は東南アジアのナレズシから始まる
茶の道は古代タイ語族の道。茶の最初は食べものだった
朝鮮半島の発酵漬キムチは、乳酸発酵をミックスした最新進化形態
第5章 肉と乳の道
乳総覧
草原と家畜がもたらす、白い食べものと、赤い食べもの
日本にチーズは定着しなかったが、豆腐として根付く
豆腐は南からやってきたのか?北からやってきたのか?
遊牧民族総覧
第6章 干物の道
干物の移動 干物の保存文化を生み出した有数の漁場は、地球的な水の動きから生まれる
大寒波のもたらす適度な湿度が、干物の美味しさを生み出す
乾物を戻す時間の叡智、一見無駄に思える時間をとれるかとれないか
第7章 和食の道
源流と海が近い地形が、軟水を生んだ
江戸の町の引力による合理的発展、人口の急増と、流通網の整備が和食を完成させた
利根川東遷による治水が、沼地に新田を生み出し、河川舟運によって醸造業が発達
砂糖が、人間の脳の動きを活発化し、化政期の知識層を生み出した
津々浦々で和食の道がネットワークされ、食文化がミックス
参考資料
奥付
● 価格について
この本は書き手の眼差しだけではなく、読み手の眼差しで育っていく「フィールドノート」です。断定的な結論を示すのではなく、現場で浮かび上がる違和感や問いを起点に仮説的な視点の提示や体系化を行い、対話と再考を促すためのメディアとして構想されています。フィールドノートでは、読者や実践者との間で共有・検証・再編・補完が進むという継続的な共同研究の場であり、複数の視点が交差しうる「暫定版」としての動的な知の形を模索しています。
本書の価格は3,500円+税と、一般的な書籍と比較して高価に映るかもしれません。しかしながら、本書に収録された内容は、約5年にわたる継続的な調査・文献収集・現地フィールドワークに基づいて構成されており、単なる情報提供にとどまりません。加えて、過去十数年にわたる各地域での実地調査の蓄積も踏まえています。今後、読者の皆さまと対話を重ねながら、更なるバージョンアップを目指しています。刊行に際しては、営利を目的とせず、あくまで研究継続に必要な最低限の制作費・人件費を賄うための設定価格としております。
本書の目的は、和食や、それを運んできた人々がどこからどうしてやってきたのかを現代の私たち自身の目線から問い直し、これからの未来を考えるための足がかりとすることにあります。こうした趣旨にご関心・ご賛同いただける方には、本書のご購入を通じて、本取り組みをともに支えていただけましたら幸いです。
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● 読者からの感想
・Fさん
和食人類学は、現在、日本人と呼ばれる種族のたどってきた道のりを紐解くロゼッタストーンのような役割だと感じました。
そして、遺伝子レベルで様々な系譜が入り混じっていることや、大陸が長い時間をかけて移動して地層を築いていったように、複雑に絡み合いながら有機的にうごめく生態系として身体や精神をカタチづくってきたのであり、現在では、その姿は以前とは比べ物にならないスピードで変容を余儀なくされる状況におかれていることも合わせて認識しました。
単なる知識として和食人類学を読み解くのではなく、今を生きる私たちの命の源泉として分かちあい、未来へと受け継いでいく記憶として咀嚼していくものだと思います。頭で理解すること以上に、実際の暮らしにおいて"食"を通して体現していくこと、また、文化を育む土壌菌のように育んでいくものだと感じました。
いずれにしても、日本語の成り立ちへの考察や、稲作の起源と派生においても、日本人という独立独歩した種族が始めからいて今へと至っているわけではなく、移動し交配していく中で特色を変化させながら、共生する生態系として土地に根づいてきたことが図解で俯瞰できるようになったことで、生命体として身体を拡張し、この星そのものとして生きることの豊かさを呼び覚ます時だと実感しました。
・Oさん
まずもって、封筒から出した時に表紙がすごくて声出ました!紙の本として手にしがいがあると言うか…、2次元が立体とクロスしてるようにも思えて、ここにも越境チャレンジが見える気がしてめちゃくちゃ好きでした。そして、曼荼羅の大きいのついてるのがすごく良い!地図広げて眺める感じのスケールで見られると入ってくる感じがしました。中身は、レイアウトや写真が素敵で旅に出たくなります。トルコの焼きマントゥの写真インパクトあった…。
乳のトピック好きでした(チーズ根付かず豆腐って繋がるんやー!とか、突如ぶっ込まれるカルピスエピソードとか、その交わりが読めばなるほどだけど、思いがけなくて興奮があった)。あと、北前船がつなぐ山形で京都風から始まる和食の道面白かったです。
一見別モノに思えるものが実は繋がっているという事が紐解かれること、そのものが元々好きな性分なのですが、それをこのスケールと深度で、しかもビジュアルもレイアウトも良いから受け止めやすい構造(わかりやすいだけとはまた違う)で、やってもらえる読書体験に喜びがありました。今は受け止められてないトピックも、何か学んだり目にした時にふと繋がる瞬間がこの先にもありそうな予感というか、そういう完結しない余白を残してもらえてる感じも良くて。なんか冒険の地図っぽいもののように感じております。
・Sさん
「ルーツを知ることで、人はもっと確かな足取りで歩いていける。」この本は、そんな実感をやさしく手渡してくれました。
むずかしい理屈よりも、
「なんでこの味に落ち着くんだろう?」
「なんでこの土地にしっくりくるんだろう?」
そんな日常の小さな疑問から、気づけば自然と読み進めてしまいます。
朝ご飯の食卓に並ぶ、ごはん、お味噌汁、干物、お漬物。台所に立つ時間そのものが、「いただきます」という言葉の奥行きに触れるひとときへ。そうやって少しずつ変わっていく自分自身の変化も心地よいものでした。
いつものごはんや一杯のお酒が、昨日とは少し違って見える面白さ。自分はいま、どこに立って生きているのか。その感覚が、無理なく身体に戻ってくる。そんな余韻の残る一冊です。